弁護士山内良治 兄からのサンデイ毎日「ミレニアル世代が米国社会を民主社会主義へと変化させるか?」(6)

近年、米国における、住宅や車の売り上げの伸び悩みに、ミレニアル世代のライフスタイルが影響を及ぼしているようです。ミレニアル世代は、歩いて行ける範囲内にいろんな店が存在し、公共交通機関が発達した街に住み、郊外のショッピングセンターには徒歩で行ける距離で、自転車や自動車はシェアすることで済ませる人が増えているようです。そのような街では、かってのように、自宅を住宅ローンを組んで背伸びして大きい家を購入し、いずれ値上がりとともに転売する投資物件でしたが、手頃な小さな住居が選ばれる傾向があります。

その裏では、「他の人と繋がっていたい」という欲求があるようです。住宅業界の将来像も、自動車業界と同じように、「小さく・安く」新しい低賃金経済に沿ったものに変わっていくことになりそうです。時には、空き家や部屋を共同使用することが増加すると、思われます。

ミレニアル世代には、「車による移動を介さない人間的繋がり、テクノロジーを通じた社会的な繋がりが生まれている」ようです。スマホを個人が所有したことで、カーシェアリングや、モノのリサイクル活用が便利に行えるようになりました。また、同時に、車を介さずに距離を隔てた人と人との繋がりをも可能にしています。その結果、消費内容は、自動車・住宅などからモバイル機器・通信費用へのシフトが続いています。

次回の大統領選挙で、共和党のトランプ大統領が勝っても、長期的には、いずれ米国政治と経済は、ミレニアル世代への交代という大きなうねりにさらされて、米国政治は、民主党左派の「社会民主主義的な方向」に大きく振れていく可能性が高まります。

それでは、また。

山内一三 記

(兄からのサンデイ毎日「 ミレニアル世代が、米国社会を民主社会主義へと変化させるか?」)

弁護士山内良治 兄からのサンデイ毎日「ミレニアル世代が米国社会を民主社会主義へと変化させるか?」(5)

今後この世代が、大きな社会現象を呼び起こし、米国の政治と社会に、民主社会主義的な政策を求める、新たな潮流を形づくる可能性があると予測されています。前回の大統領選挙で、共和党のトランプ大統領は、米国第一主義を掲げて、移民排斥、保護貿易主義、富裕層の税率引き下げによる所得格差のさらなる拡大、オバマ・ケア廃止などの政策を掲げました。が、ミレニアル世代が支持した民主党のサンダースの公約は、上記のように社会民主主義的政策を掲げています。

いずれ、保守的な自国第一主義の主張を掲げるトランプ大統領が再選されても、その後、2020年代後半から、ミレニアム世代の成長によって、米国政治は、
社会民主主義的な人権擁護と所得の平等、社会福祉政策の充実を目指す方向に、大きく舵が切られる時期が来る可能性が高まります。「世代交代が米国政治を変える」という、長期的大変動に見舞われることになります。

ミレニアル世代は、政治のみならず、経済循環の流れを変える可能性があります。これまでの典型的な家庭の場合、家計の半分は自動車と家賃によって占められてきました。しかし、ミレニアル世代はそのような古いタイプの考え方には背を向けています。ミレニアル世代への自動車販売は落ち込みを見せており、人生で初めてのローンを、車の購入で組む人の割合は10年前に比べて半分になっているといわれます。

(つづく)

弁護士山内良治 兄からのサンデイ毎日「ミレニアル世代が米国社会を民主社会主義へと変化させるか?」(4)

政治面でも、2016年に行われたアメリカ大統領選挙で、民主党のヒラリー・クリントン候補を脅かしたサンダース旋風が起こりました。「政治革命」を唱えた左派上院議員バーニー・サンダース(1941年生まれ)を、熱狂的に支持したのは、このミレニアル世代でした。

サンダース氏は、「革命ではなく議会を通じた民主主義による、民主社会主義社会への移行」を、政治目的に掲げる「民主社会主義者」を自認しています。
前回の大統領選挙においても、貧富の格差是正や、国内雇用を奪う関税引き下げや自由貿易協定には反対、医療分野でオバマ・ケアをさらに進めたユニバーサルヘルスケア(国民皆保険制度)の実現、教育支援制度の充実、公立大学の学費免除、LGBT(同性愛者)の権利保護、少数民族などマイノリティの権利保護を訴え、支持を集めました。

これに象徴されるように、ミレニアル世代の政治思想は、所有権よりも共同利用権を重視し、かって伝統的な米国社会では受け入れられなかった「民主社会主義」政策と、相通じるところがあります。ミレニアル世代に続く次の世代も、同様の政治思想を持っているとみられます。このため、2030年代なかばには、ミレニアル世代に属するすべての人が40歳を超え、社会の中核を形成します。

(つづく)

弁護士山内良治 兄からのサンデイ毎日「ミレニアル世代が米国社会を民主社会主義へと変化させるか?」(3)

1.米国のこれまでのどの世代と比べても白人人口が少ない世代です。人権尊重、民主主義教育を受けて育ったため、人種差別意識の少ない、人権意識の高い世代です。

2.2000年代初頭のITバブル崩壊や2008年のリーマン・ショックを端緒とした世界金融危機など、厳しい経済環境のあおりを若年期に大きく受けています。そのため、我が国の「団塊世代の子供たち世代」と同様に、30代なかばまでの若年期に失業率が高く、平均初婚年齢や親との同居率が、米国の歴史上でもっとも高い世代です。

3.物の充足よりも、人との連帯感や情報収集に敏感です。10代のころから、恵まれた情報通信や急速に普及したデジタル機器の恩恵を受け、欲しい情報を瞬時に得られる環境やオンライン・ショッピングなどが続々と整備されるなかで育ちました。また、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などを通じ、友人との共感を重視したコミュニケーションが定着しており、モノよりも経験や体験、他人の共感や評価を重視する意識が強いとみられています。旅行も、「何が体験できるのか?」を重視します。

今後こうしたミレニアル世代特有の価値観が、米国社会の在り方に、大きな影響を及ぼすのではないかとみられています。所有よりも共同使用を意識したシェアリング・エコノミー、リサイクル・エコノミー、さらに、ネットメディアの台頭は、ミレニアル世代に続く若い世代のライフ・スタイルや意識を大きく変えつつあります。

(つづく)

弁護士山内良治 兄からのサンデイ毎日「ミレニアル世代が米国社会を民主社会主義へと変化させるか?」(2)

一般的には、ミレニアル世代は1981年から1996年に生まれた人々で、その人口はアメリカ全体の約2割、7000万人以上に上るとみられています。この後に続く世代も、ミレニアル世代に共感している世代とみられています。ミレニアルズMillennials(千年紀の意)に由来し、子供のころからグローバル経済化と情報通信革命が進行する真っ只中で、育った初めての世代です。

同時に、彼らの青春時代には、米国の新興企業の株価を示すNASDAQ株価指数が、わずか2年余りで3倍に高騰し、その後暴落した2000年初頭の「情報通信(IT)バブル崩壊」による米国の経済危機や、2008年に世界金融恐慌を引き起こしたリーマン・ショックなど、未曽有の経済危機を、体験しています。また、グローバル化による所得格差拡大社会に入り、高所得の就職口が減り、地球温暖化問題が深刻化するなど、厳しい社会情勢の中で育ちました。

このため、過去の世代とは異なる価値観や経済感覚、職業観などを持っている世代です。この世代の特徴として、次の点があげられます。

(つづく)

弁護士山内良治 兄からのサンデイ毎日「ミレニアル世代が米国社会を民主社会主義へと変化させるか?」(1)

お元気ですか?

以前に紹介しました我が国の低所得者の新しいライフスタイルである「プア充」とは切り口は異なりますが、米国でも、グローバル化と情報通信革命によって生じた貧富の格差拡大が、新しいライフスタイルを持つ「ミレニアル世代」を生み出しており、注目が集まっています。

先進国にとって、1990年代から始まったグローバル経済化によって、世界規模で輸入関税の引き下げや貿易自由化、企業の海外投資の自由化が一段と進み、先進国の大多数の労働者は、新興国の低賃金労働者と直接競合するようになり、所得が増えなくなっています。また、同時に進行しているAI革命も、単純労働者の職を機械化することによって、職を奪います。

その反面、消費生活者の立場から見れば、輸入物価は下がり、生活コストは低下します。技術進歩が続くスマホなどデジタル機器の利用で、日常の情報検索・通信、買い物やレンタル利用、リサイクル利用などが、一段と便利になるなどの恩恵があります。個人の生活環境は、短期間にどんどん変化していきます。

これに伴い、個人生活の豊かさは、「個人の所得や社会的地位、仕事の能力などの属性」だけで決まるのではなく、「生活環境の中の豊富な情報を、どれだけ上手に使いこなせるのか?」という、広義の情報処理能力によっても、個人生活の豊かさが左右されるようになってきました。この生活情報環境が大きく変化する中で、子供のころから自在に情報機器を使いこなしてきた「ミレニアル世代」が、将来の社会変革の方向を決める世代として、注目されています。

(つづく)

弁護士山内良治 兄からのサンデイ毎日「若返り進む高齢者世代」(9)

大切なことは、生活習慣病を、老化現象と混同しないことだと思います。あるテレビ番組で、「赤ちゃんの肩が凝らないのは、絶えず体を動かしいるため」と説明していました。確かに人類も、縄文時代まで狩猟民族をしていたころは、毎日獲物を求めて、好奇心いっぱいに野山を20-30km程度は、動き回っていたようです。

日々動き回ることを前提に作られている人体は、現代社会の長い時間同じ姿勢で、座って作業するデスクワークには不適合です。目が疲れ、肩が凝り、筋肉が弱り、肥満になり、糖尿病になり、血管の弾力性が失われて循環器病になり、運動不足に陥り、人間関係に疲れて精神的にストレスがたまるなど、すべては、不適合な現代の生活習慣に由来する生活習慣病です。生活習慣を変えれば、改善余地が大きいと思います。まだまだ、老化現象ではありません。

その証拠に、私のようにデスクワークから解放され、隠遁生活して、日々散歩し、スクワットなど筋肉運動をし、趣味に任せて出歩いていると、筋力は向上し、感性は豊かになり、知的判断能力も改善します。椅子をやめてバランスボールに替えて日常生活をしていると、姿勢がよくなり、腰痛にはならずに、身長も数ミリ伸びました。

それではまた。

山内一三 記

(兄からのサンデイ毎日「若返り進む高齢者世代」)

弁護士山内良治 兄からのサンデイ毎日「若返り進む高齢者世代」(8)

また、外出の頻度を主観的な健康状態別にみると、健康状態が「良好」な人では約8 割が「ほとんど毎日外出」しており、週に1 回未満しか外出しない者は1.5%にとどまっています。一方、健康状態が「良くない」人では「ほとんど毎日」外出する者は約3 割にとどまり、「ほとんど外出しない」という者が23%、週に1回未満しか外出しない者との合計は、約3割に上っています。健康状態と外出習慣の関係は、「不健康だから外出しないのか?、外出習慣がないから不健康なのか?」因果関係をどう見るかという疑問も残ります。が、健康には、何らかの外出習慣が、大きく寄与していることは確かです。

結論的には、若返り現象は、「運動習慣をつけ、バランスの良い食事を心がけ、熱中できる趣味を持ち、頻繁に外出する趣味と多彩な人間関係を持つライフ・スタイルが増加してきたこと」と、関係があるようです。このライフ・スタイルが、広がっていけば、若返り現象はさらに進行すると思います。75歳以上の高齢者のフレイルを予防するにも、全くこれを受け継ぐような若返りを促進するライフ・スタイル維持に、努力する必要があると思います。

(つづく)

弁護士山内良治 兄からのサンデイ毎日「若返り進む高齢者世代」(7)

内閣府調査では、70-74歳世代も、75―79歳世代も、80歳以上世代も、ほぼ半数の人が健康状態は「良好」と感じています。健康がよくないと感じているのは、70―74歳世代で19%、75-79世代で26%、80以上世代では30%です。残りは普通の健康です。押しなべて現代の高齢者は、十分な睡眠や栄養バランスの良い食事、定期的健康診断、医療・健康情報収集などは、心がけているようです。

しかし、健康は良好と答えた人と、良くないと回答した人の「健康に対する日々の心がけ」を見ると、格差が大きいのは、散歩やスポーツをする項目と、趣味を持つ、外出の頻度の項目です。健康良好グループは、59%の人が散歩やスポーツをすることを心がけており、健康不良グループは、ほぼ20%程度の人しか、散歩やスポーツを心がけていません。趣味も、健康良好グループは50%が趣味を楽しみ、健康不良グループは、趣味を持つ人は20%程度にとどまっています。

(つづく)

弁護士山内良治 兄からのサンデイ毎日「若返り進む高齢者世代」(6)

それによると、男女ともに、2017年時点の70-74歳世代と75-79歳世代の運動能力は、20年前の5歳若い世代の運動能力を大きく凌駕しています。新体力テストによって、高齢世代では、5-10年程度の若返りが続いていることが、裏付けられています。

それでは、なぜ世代の若返りが進行しているのか?答えとして、定期的な運動習慣、政府・マスコミの健康知識の啓蒙、農作業など身体を傷める重労働の機械化、定期健康診断などの予防医学と医療技術の進歩、栄養バランスを意識した食習慣の改善などの要因が挙げられます。

これを裏付けるように、昨年の高齢社会白書では、65―74歳世代の男性、75―79歳世代の男性ともに、ほぼ半数が運動習慣(1回30分以上の運動を週2回以上、1年以上続ける)を身に着けています。女性の場合は、両世代とも40%近い比率で運動習慣を身に着けています。予想以上に多いと感じました。

(つづく)